純喫茶アカペラ

 

「ーそれで何の曲にするんだ?」
「あんまりマイナーなものや難しいものはは避けるべきでしょうねぇ。」
「あと英語のほうが雰囲気に合うよね~。」
「なぁ、この曲はどうだ?」
村上が楽譜を手渡す。

「・・・Stand By Meか!!」
「なるほどねぇ~、確かに誰でも知ってるしね。」
「それにアカペラ入門っていったら大体この曲なんだよな。」
「さすがてっちゃん!!」
「感心してねぇで、さっさと練習すっぞ。何しろ時間が無いからな。」
客はすでにデザートも食べ終え、コーヒーも飲みきっている。

「まず北山、いい低音出そうだからな。お前はベースボーカルだ。」
「俺が?」
「お前のパートはかなり重要だからな、ミスは許されねぇぞ。」

「黒沢は一番高いパート。普段の声からして高ぇからな。」
「はいはい~。」

「じゃあ安岡はこのパートで雄二は・・・」
急いでパートを振り分けていく村上、いつのまにか完璧に仕切っている。

「そしてメインボーカルはこの俺がやる。言いだしたのは俺だしな。」
「練習はいつやるの?」

「今から1分だけで仕上げる!」

「「は?!」」

「ちょ、ちょっと待ってよ。いくらなんでもそれは無茶だよ。」
「やるしかねぇだろ!もう時間はないだろうが!!それにー」


「俺はお前らを信じてる。」


「・・・てっちゃん。」
ヤスがうつむいたまま語りかける。
「何だ?」

 

「恥ずかしい。」

「っ~・・・!!!!!」

安岡の発言に顔が真っ赤になる。
くそ、かっこいいこと言ったつもりが・・・しかしそのおかげか、さっきまで張り詰めていた緊張が解けリラックスムードになった。
村上がそれぞれの音を急いで指導。

「―っ、合わせてる時間はなさそうだな。」
「ぶっつけ本番ってやつ?」
「まぁ、そういうことだ。」
「あ、言っとくけどお前ら間違えたら給料半額だから。」
「そういう酒井さんこそ間違えないでくださいよ~?」
「黒沢、俺はお前が一番心配なんだが。」
「大丈夫です、黒沢さんは上手いですから。僕が保障しますよ。」
北山はニッコリと微笑む。

「・・・そうだな、じゃあいくぞ!」


「One,Two...」
小声で北山がカウントをとる。


When the night has come
And the land is dark
And the moon is the only light we see

No, I won't be afraid
Oh, I won't be afraid
Just as long as you stand
stand by me,

So, darling darling
Stand by me
Oh stand by me
Oh stand
Stand by me
Stand by me