傘をあげる 2.渡せない花束


 

「行ってきま~す!!」

元気良く飛び出して行った安岡を見送ると、村上は安岡の行った方向とはまったく逆方向へ走っていった。

息を切らしながら着いた場所は近所の花屋。

「あ、また来てくれたんですね~。」

ブラウンのロングヘアーの綺麗女性の店員が声をかける。

「は、はい。」

「今日は何を?」

「えー、えっとですね。花束を作っていただきたいなぁと。」

「また彼女さんにでもプレゼントですか~。彼女さんがうらやましいなぁ。」

「えっ、いやっ、その―・・・」

君にプレゼントする為に、
なんてべったべたな台詞言えるわけない。

「じゃあご用意させていただきますね~。」

「はい!いつもどおりおまかせで!!」

数分後。

「こんな感じでどうですか?」

渡された花束と引き換えに女性に代金を渡す。

「すごくいいです!!」

「よかった~。」

・・・この笑顔だ、この笑顔に俺はやられたんだ。
もともと一目惚れなんてなんてする柄じゃねぇんだけどな、この人は特別だった。
俺も男だ、今日こそ聞き出さないとなメアドぐらい。


「あ、あの、もしよろしかったら連絡先を―」

~♪

村上の言葉を遮るかのように女性の携帯がなった。

「あっ、すいませんちょっと待っててくださいね―、もしもし・・・」

携帯をとると女性は店の奥へ入っていった。
少したって出てきた女性はいつのまにかエプロンを脱ぎ捨てて普段着に戻っていた。

「ごめんなさい、ちょっと急用が出来ちゃったので!!!!!」

そう一言だけ村上に言うと女性はどこかへ走っていった。

「っ~・・・そりゃねぇぜ神様よぉ。」

せっかく言いかけたのに。
でも私服見れただけラッキーか♪

・・・しかし急用ってなんだ?